魔法はどこから始まる?
僕にとっての始まりは、生まれ故郷のパプアニューギニア、ポートモレスビーだった。
僕は、殺されるネズミだった。
地元で上演された、定番のパントマイム劇『Dick Whittington』。父はアマチュアの役者で、僕も参加できる年齢になると、仲間に入った。
死んだら、容赦なく舞台から引きずり出された。
でも、照明、メイク、歌……。
大好きだった。
僕にとっての「The First Magic[最初の魔法]」は、そこから始まった。
その10年後、僕はメルボルンの学校の舞台に立っていた。音楽の先生と数学の先生が書いた、オリジナルの作品だった。
あの歌を先生たちが書いたなんて、信じられなかった。少なくとも僕には、すごくいい歌だった。そして僕は舞台の上で、コーラスの一員としてそれを歌っていた。
自分でも、こんなことができたらすごいだろうな、と思った。
そして、あっさり忘れた。本の世界に、ますます埋もれていった。
その後も学校のミュージカルにいくつか出たけれど、あのオリジナルの舞台は、ずっと心に残った。今でも歌える曲がある。
それから何年もたって、僕はNagoya Players Juniorの公演のプロデューサー、Shawn MahlerとZoomで話している。
彼が話しているのは、次の公演のこと。Rudyard Kiplingの『Just So Stories』に収められた一編、「The Cat that Walked by Himself」をもとにした作品だ。
欲しい曲の一つは、猫についての歌。
そりゃそうだ。
でも、もう一つは「The First Magic」についての歌だという。
え?
The First Magic?
変わってるな。
でも、ちょっといい。
僕にとって、The First Magicって何だろう?
見当もつかなかった。
でも、そのアイデアは気に入った。
そして気づくと、そもそもどうしてこういう舞台の音楽を書き始めたのか、そこに戻っていた。
子どもたちに、魔法を感じてほしかった。
僕が舞台で感じた、あの魔法。照明の下でときには苦戦して、きっかけを逃したり、何かを間違えたりする。それでも夢中になって、楽しくてたまらない。
そして公演が終わってからも、何時間も、何日も、何週間も、頭からどうしても離れないあの歌を、歩きながら口ずさんでいる。
すっかりはまっている。
もっとやりたくなる。
出演する子たちに、そう感じてほしかった。みんなに、あるいは、たった一人でもいい。前に味わったことがあったとしても、あのThe First Magicを感じてほしかった。
それで、それはどんな音になるんだろう、と考え始めた。
繊細で、軽やかに揺れる感じ。でも、ドラマもあって、最後には気持ちが上向くようなものにしたかった。小さく始まり、少しずつ広がって、演じる子たちがその先へ進んでいけるような曲。
じわじわと熱を帯びていくものにしたかった。心の奥で低く響いていて、やがて歌い手が思いきり羽ばたいてもいいんだと感じられるような。
あの曲には、自分の思いをたくさん込めた。
でも今、デモを聴き返すと、何かが足りない。
あの子たちだ。
キャスト録音を残しておけばよかった。
舞台で「The First Magic」が演じられ、出演者たちが自分たちの歌にしていくのを見た。それは、こういう舞台の音楽を書き始めたときに、僕がまさに望んでいたことだった。
照明、歌、逃してしまったきっかけ、わくわくする気持ち。そして終わったあとも、頭から離れないあの歌。
はまってしまう。
もっとやりたくなる。
それが、The First Magic。